防錆剤とは?成分・種類・使い方

我々の生活は、鉄鋼材料の上に築かれていると言っても過言ではないぐらい身の回りには鉄鋼材料により創られた製品があふれています。しかし鉄鋼材料には、“錆(さび)”という重大な欠点があります。“錆(さび)”との戦いは金属の時代に生きる私達の宿命です。

“錆(さび)”は「炎なき火災」とも言われ一瞬の休みもなく進行し、機械の強度を落とし、商品の外観を損ねるなど各種の重大な損害をもたらしています。

防錆剤とは?

“さび”を防ぐ方法としては、大きく分けての3つの方法があります。

表面を環境から遮断する方法
保存する環境を改善する方法
耐食材料の使用

さび止め油は、『表面を環境から遮断する方法』に含まれる防錆防食方法にあたります。

弊社で扱っている防錆剤は、『表面を環境から遮断する方法』に含まれる防錆防食方法にあたります。

通常の潤滑油の場合と異なりさび止め油の場合は、ワーク表面に対し防錆添加剤(化学物質としては極性基を有する界面活性剤)の極性基部位が強固な吸着力を示す事により、腐食因子の進入を遮断しワーク表面への侵攻を妨げる事が可能なため、強い防錆性能を示します。

さび止め油の有する代表的な性能として、水置換作用があります。さび止め油を効果的に使用するためには、金属表面を洗浄した後防錆油にて処理をするべきでありますが、実際には溶剤による前洗浄後は、溶剤の蒸発潜熱のため金属表面の温度が下がり、空気中の水分が凝縮します。また、前工程にて水溶性加工油剤により加工を行っている場合、当然金属表面は水に濡れています。

このような場合でさび止め油を塗布する際は、金属表面から水を押し除く性質(水置換性)が求められます。

弊社CPC製品は、JIS分類NP-3-1,2水置換型さび止め油になります。

防錆剤の成分・種類・使い方

①X-813A

CPC X-813Aは、耐海水性が高く比較的長期の防錆に適した非水溶性の防錆油です。

その特徴より、機械などの輸出の際に使用されています。精密仕上部品、金型、非鉄金属の組込 まれた複雑精工な機械等、あらゆる金属の防錆にご使用頂けます。とりわけ比較的長期の防錆や 厳しい条件下での防錆に優れている為、機械等の輸出の際に使用されています。

CPC X-813A
製品名 CPC X-813A
特徴

・強い防錆力を有し、耐海水性にも優れています。

・水置換性が非常に高い。

・非常に薄い防錆塗膜を成形します。

・潤滑油と混和する為、潤滑面でも除去の必要がありません。

・オイルステインを起こしません。

使用法

・浸漬・スプレー・刷毛・ローラーで塗布できます。

・除去を行う際は洗油等で容易に除去できます。

性状 外観 褐色透明液体
臭気 石油溶剤臭
引火点 42℃以上
比重 0.82 (20℃)

②X-815

CPC X-815は、金属に付着している水や切削液を置換して防錆する極めて用途の広い防錆油です。

機械装置の内部、精密研磨品、黒染処理後、リン酸化成膜処理後の防錆に適し、外部を適当な耐 油紙で包んだ場合、1年以上の防錆実績が多く報告されています。この被膜はほとんど乾いた状 態であるため、手に触れても付着することがありません。

CPC X-815は、濡れた金属面から水を追い出し、また被膜は肉眼では識別しにくいほどの薄さで すので、特に短期防錆に有効です。

CPC X-815
製品名 CPC X-815
使用法

・スプレーまたはハケ塗り

・多量の水を除く場合は浸漬、揺動して水分置換して下さい。

性状 外観 淡褐色透明液体
引火点 42℃以上
比重 0.79 (20℃)
粘度 低粘度
弊社除去剤

・石油溶剤 (R-5500・R-5510)

・アルカリ洗剤 (KR-6140・KR-303)

・塩素系溶剤 (MF-P)

防錆期間

屋内3ヶ月程度(一般環境において)

③Ⅱ-MD

CPC Ⅱ-MDは、汎用性の高い多目的防錆油です。

工作機械・ポンプ部品・タービン・エンジン・精密研磨品等の屋内防錆用途を中心にご使用頂け ます。

特徴として、3~4μと極めて薄く、透明な耐水性防錆被膜を生成しますので、浸透力が強く急速 に拡散・移行します。また、微細な隙間や割れ目の中まで深く浸透し、湿気や水分を追い出しま す。成膜された防錆被膜は、防錆効果と共に潤滑性を与えます。

CPC Ⅱ-MD
製品名 CPC Ⅱ-MD
使用法

・浸漬・スプレー・刷毛・ローラーで塗布できます。

・エアゾールで使用の際は弊社製品【CPC Type Ⅱ AE】をご使用下さい。

・除去を行う際は弊社製品(下記)を推奨します。

アルカリ洗浄剤 :【KR-6140】【KR-303】

石油溶剤 :【R-5500】【R-5510】

塩素系溶剤 : 【MF-P】

性状 外観 淡褐色透明液体
臭気 石油溶剤臭
引火点 42℃以上
比重 0.81 (20℃)

防錆剤を使うときの注意点

取扱いの注意

・換気・排気が整った環境下でご使用下さい。

・引火の恐れがありますので、着火源がない場所でご使用下さい。

※ご使用にあたっては、製品GHSラベルの注意書きに留意してご使用下さい。

※安全と関連法規に関する詳細な内容は、安全データシート(SDS)をご参照下さい。

※上記注意点と重複しますが、実際のご使用に際しましては、安全データシート・カタログをご 参照いただき、使用される作業者の安全を確保していただくようお願いいたします。 身体に異常を感じた場合には至急医療機関を受診されて医師にご相談ください。